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【オーガニック コットン レポート - 17/12/18】

2017.12,15 NOC.JPG
<レポートの概略>

●北半球、南半球で2015年から16年に世界18か国でオーガニックコットンが
生産された。
生産量は107,980キロトンだった。
(注:この数量は繊維部分だけで種部分入れていない)
総生産量は昨年比4%減少だった。
インドの占有率は67%から56%に低下した。
●中国の生産量が13%伸びて世界生産量ランクで2位に浮上した。
全体の14%の占有率になった。
●キルギスタンを含め中央アジアでの生産量の伸びは44%だった(7,981トン)
 タジキスタンは6,620トンでなんと562%の伸びを示した。
 中央アジアはランキングで3位になった。
●アメリカ・テキサスオーガニックコットンマーケットコープ(TOCMC)の
生産量は昨年比15%伸ばした。
●ベニンのOBEPAB農業者の80%が、平均的なオーガニックコットン単位面積
当たりの収穫率を上回ることができた。
タンザニアのbioReプロジェクトでは生産効率の倍増を果たした。

<2017年の実績数>
●オーガニックコットン生産量総量  107,980 MT(メトリックトン・キロトン)
●オーガニックコットン生産に携わった農業者数  219,947人
●認証された農地面積  302,562haヘクタール
●転換中の農地面積   262,975haヘクタール

<2017年のトピックス>
●オーガニックコットン製品を使った製品分野が広がった。
 ホームテキスタイル、来客・パーティ用品、不織布を使った衛生用品、
超長綿を使った高級衣料品など
●オーガニックコットン会社がそれぞれの経営資源や供給ネットワークを共有することによって流通効率を上げて、価格面に反映させ市場を伸ばす努力があった。
 その例として、the Organic Cotton AcceleratorやChetna Coalitionがある。
●経済的に生活が苦しい農業者、特に女性にマイクロファイナンス(少額貸付制度)を行うことによって小さいながらビジネスを立ち上げ、生活の改善に役立てている。
●オーガニックコットンとPFM(Preferred Fiber & Materials・改善コットン)は
コットン全体の47%にまで広がりを見せている。
・改善コットンとは、Better Cotton、Cotton made in Africa、
Fair Trade cotton、Recycled Cotton、Alongside Organicなど一般の綿花栽培
より環境面で配慮された綿花です。
NOCホームページのレポート2015年【世界のオーガニックコットン事情】の中の「オーガニックコットンはベンチマーク」で説明しています。
     ・大手アパレル、小売業を中心に関連企業が合同してより良い地球環境、
持続可能性のある綿花生産に改善してゆく動きが起きています。
問題提議としては、以下のテーマを挙げています。
・繊維やアパレル企業は、世界で3億人以上の綿花生産者の生計に責任がある。
・コットン1kgの生産のために、貴重な水を、10kリットルから
20kリットル(大きめの浴槽200リットル、50杯分〜100杯分)
も使っている。
・農業者は、毎年化学農薬による健康被害を受けている。

Cotton2040
企業・業界が共通の目的に向かってパートナーシップをもって活動して行く。
C&Aが支援するForum for the Future(非営利組織)が運営している。
トレードマークGOLD T-shirtsを持って、認証制度も備える( cradle to
Cradle Certified)。
参加企業は、M&S、Target、industry standards、 Better Cotton Initiative,
Cotton Made in Africa、Textile Exchange、 the Fairtrade Foundation,
industry initiatives Cotton Connect、IDH、Cotton Australia
Value Added in Africa、Organic Cotton Accelerator
London College of Fashion

Circular Fiber Initiative
エレンマッカーサー財団が2017年に立ち上げた繊維業界の循環経済の実現を
目指している。
      
  Sustainable Apparel Coalition(SAC)
         2010年にPatagoniaとWalmartの呼びかけで始まった連合組織。
持続可能性インデックスHigg FEM (Facility Environmental Module) を開発。
工場向けの環境自己評価ツールで、水の消費量、廃棄物、
大気への排出、化学物質の管理などのガイドライン。
世界でこのインデックスを8、000社以上が利用している。
主な参加企業はH&M、NIKE、リーバイス、アディダス、アシックス、
東レ、帝人など200社以上。

<関連参考データ>

オーガニック全体の市場動向
・世界のオーガニック食品の市場 :816億ドル(8兆1600億円)
世界ランキング1位アメリカ  :433億ドル(4兆3300億円)
             2位ドイツ  :95億ドル(9500億円)
            3位フランス :61億ドル(6100億円)

・イギリスの市場は伸びて2017年22億ポンド(3300億円)の見通し。
・2016年の認証オーガニック化粧品市場は13%伸びている。
 ・オーガニック非食品製品(繊維、アパレル含む)の売り上げは8.8%伸びている。

以上のレポートから見えてくるものは、オーガニックコットンの生産量が
なかなか伸びない一方、市場は順調に伸びてきていること。
オーガニックコットンを頂点として改善型のコットン生産が大きな広がりを
見せてきていることです。
大手アパレル企業にとっては、ベストより「ベターなコットン」で広く
環境、社会貢献をアピールしようとしています。
消費者の興味や価値観が、環境やフェアトレードに向いてゆき、やがてベスト
チョイスのオーガニックコットンに向かう事と思います。
テキスタイル・エクスチェンジでは、100%オーガニックコットンを使う
ブランドを特別に「100%CLUB」と名付けています。
NOCグループの製品もすべてこの範疇に入ります。
世界でも年々増えてきていて純粋なオーガニックコットン製品を提供する意義が広がっていることに注目しましょう。


平成29年12月13日                 
日本オーガニックコットン流通機構
顧問 宮嵜道男(文責)

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