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【BCI(Better Cotton Initiative)の近況 - 16/10/24】

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オーガニックコットンという従来のコットン産業と 一線を画し、認証しラベルをつけ一般のコットンとの違いを明示するという仕組みは、大手のアパレル産業には  受け入れられない事情があるようです。
とはいっても一般のコットン生産における農薬の大量使用の問題、灌漑などの水資源の浪費、そして農業者や繊維製造労働者の搾取や児童労働の問題など企業イメージを痛く 損ねる問題は、近年一般消費者が知るところの事となり、これを緩和する方法として  編み出された仕組みが、ベターコットンイニシアティブ(より良いコットンへの手立て)と見えます。
発起人は当然、錚々たる大手ブランド企業群で、2005年にNGOとして活動を開始  しています。メンバーは300の団体や企業組織で構成され、今や100万件を超える農家が参加していると云います。
BCIの原則は、「農薬、化学肥料の使用量を減らす」、「水資源の保護のため使用量を減らす」、「土壌を健全に保ち、農場周辺の自然を保全する」、「繊維の品質を向上させる」、「きちんとした労働基準を守る」などとしています。
現在やっと世界のコットン生産全体の10%を超えるところまできましたが、目標は2020年までに30%に広げ、500万農家の参加を計画しています。
うまくいった例だと思いますが、あるパキスタンの西部の37,000の農家では、農薬の使用が37%、化学肥料22%、水の使用21%使用量が減り、農家の収入は29%増加したそうです。
BCIのこの仕組みでは、証明とかラベルとか一般綿との混率とかそのコットン製品の 来歴を示すものはなく、供給者の云うことを信じるということで成り立っています。
存在の意義はありますが、オーガニックコットンとは、別の物と捉えるべきものです。
NOCのホームページで既に関連記事を掲載していますので併せてお読み下さい。
http://noc-cotton.org/report/?p=2652
http://noc-cotton.org/report/?p=2669
Sourcing journal online 6-1-2016の記事より・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          
2015年昨年は、当方BCIにとって大変重大な年だった。
5大陸21か国で160万人の農業者がBCIのプロジェクトに参加した。            これは前年比23%の増加である。このうち150万の契約農家が生産したコットン繊維は  
260万トンで昨年比34%の伸びを示した。                           これは昨年の世界の綿花生産量の11.9%にまで達している。
栽培面積も260万haから340万haに広がった。
メンバーの数も50%増え、取り扱いの小売企業は115%増えた。
そして畑から店舗までの製品の遡及のシステムの「Better Cotton Tracer」が活躍した。
「全体的に我々は、驚異的な短時間に規模を拡大し、市場への浸透に拍車をかけた結果だった」と社長のAlan McClay氏は言った。これは重大な転機だったと評価し、続けて「メンバーたちは、農薬の使い方、灌漑水の管理、効率性の向上、男女平等、労働条件などの問題について      サスティナブルな改善によく取り組んでくれたことを誇りに思う」と語った。
もう一つ強調しておきたいのは、BCIとパートナー企業達は、15億円を投じ、BCFTP(Better Cotton Fast Track Program)を通して、8か国の70の農業プロジェクトを支援したことである。
また、BCIは、ISEAL(the International Social and Environmental Accreditation Labeling)が推進している「貧困問題を知らしめ改善するプロジェクト」への参加をしている。
この基準の中にBCSS(Better Cotton Standard System)も採用されることになっている。  現在、この基準の正当性を検討していて、今年中には正式作用になる。
BCIのメンバーには、ドイツのADIDAS、スゥエーデンのH&M、アメリカのLEVI STRAUSS他世界のアパレル主要企業があり、それぞれがベターコットンの考え方を取り入れ、農業者への支援の基金を活用している。

BCIの広報責任者のPaola Geremicca氏は「私たちは、メンバーの皆さん、支援者、      パートナーの皆さんが共に、従来の難しい農業問題に取り組み、2020年までにこの考え方が主流になるよう努力してくれることに感謝したいと思います」と言った。

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平成28年6月7日                 
日本オーガニックコットン流通機構     
宮嵜道男


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