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【 TE 2016 オーガニックコットン レポート  - 16/08/05】

TE・テキスタイル・エクスチェンジから、昨年のオーガニックコットン製品の
市場動向及びオーガニックコットン繊維の生産量の統計が発表されています。
 MARKET REPORT                
<TEのLa Rhea Pepper氏のコメント>

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「今回のレポートから、それぞれの企業が、果敢に変革しながら業績を
伸ばしている姿を見て頂けるでしょう。今後どの企業も事業を進めるには
この「変革」が最も大事なテーマになると思います」
ペッパーさんが強調されている変革とは、いかに「Preferred Fiber」
この地球にとって好ましい繊維素材をどれだけ企業の事業に取り込めるか
ということです。
  「地球にとって好ましい繊維」の筆頭に来るのがオーガニックコットンです。
この他には、再生リサイクル繊維とか、レーヨンなどがあります。
従来、この考え方は大量販売、価格優先の激しい競争のビジネスに於いて
足手まといのような扱いで、コストが掛かる、手間がかかる、その割に注目されない薄い存在でした。
ところがこのレポートでは、消費者の意識も変わり、なくてはならない存在に高まって来ていると報告しています。

<市場規模>

世界のオーガニックコットン製品の市場規模は、1兆7270億円です。
(110円/¥)
昨年は1兆5700億円でしたので9%の増加です。
オーガニックコットンを始めとするサステナブルな繊維を採り込んできた企業の業績がよく、
出遅れた企業との差が縮まらないという結果になったとしています。

サステナブルな繊維つまり「Preferred Fiber」を取り入れることにより、新たな取引先が増え、
消費者からの支持を得て、新しい市場とコミュニケートできる、ブランドイメージを良くし、主旨を
明確化してゆくので健康食品や健康ライフスタイルのメーカーと協業でき、健康な人々、
健康な自然、健康な地球をテーマした市場と結びついて行けます。
この「健康な‥」というキーワードは、インドや中国でも重要になって来ています。
オーガニックコットンを取り入れたことで環境問題と社会と経済的な利益の
バランスの取り方を学ぶと未来に向けて適切な選択が可能になります。

<フェアトレードへの関心の行方>

バングラディッシュの縫製工場の倒壊事故はあまりにも多くの犠牲者が出て、
そこに多くの欧米のアパレルブランドが係っていたという衝撃は大きく、労働者に対する
不公正な職場をなくそうという共通認識が芽生えたようです。
今まで知らされてこなかった農業者たちや工場労働者へのまなざしが向けられるようになってきました。
消費者意識が高まれば、大手の企業も無関心ではいられなくなる訳です。

<売り上げランキング>

TEの89社の中の企業トップ10の売上げ規模ランキング

1位C&A、 2位H&M、 3位Tchibo、 4位INDITEX、 5位NIKE、
6位DECATHLON  7位Carrefour、  8位LINDEX、
9位WILLIAMS-SONOMA,INC.、 10位stanley stella

*「100%CLUB」はオーガニックコットンの比率が100%の製品を作っている企業の事で、
前回18社から今回24社に増えてきた。
 FIBER REPORT                   
2013/14の10%生産量増加の後、昨シーズンから3.8%ダウンしました。
生産量 112,488トン。
認証の農地        350,033ha
農業者数         193,840人
新たに増えた認証農地    85,671ha

減った理由は、いくつかあります。                   

・インド、トルコ、タンザニア、南米の農家がオーガニック農作物の中の
コットンの比率を下げた。
・インドは、13%の減産となった。より利益になる農産物を栽培した。
 オーガニック食品や花や薬草(マリーゴールド)が多く栽培された。
・トルコは、紛争中のシリアと国境を接した国で政情が不安定化して経済も
停滞し、オーガニックも一般綿も生産量を減らしている。
為替レートも不利に働き、他のアジア国々との価格競争に負けている。

伸びている地域もあります。                      

中国
・生産量を7%伸ばしている。
・国内向けの需要も好調で、中国のブランドがオーガニックコットンを
取り入れ始めている。
・新しい産地としては湖北省が有望になってきている。
タジキスタン
・広い農場でオーガニック転換が出来、前年比459%という驚異の生産量増加を果たした。
・品質改良に余念がない。Bio-Kishovarz Projectで、超長綿を開発して
高級ゾーンを狙う。

GMO種と土着の種の比較実験の結果が出ました。             
 
 インドの最新の情報では、インド北部で行われた比較実験で明確な結果が出た。
 GMO種に対して、土着の種は多様性に優れ、生産量が確実に増えた。
 なお、ブルキナファッソでは既にGMOは排除されている。

膨大なデーターや論評の中から、以上要点を書き抜きました。

平成28年7月28日          
日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男

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