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【ブリキナファッソがBTコットンを禁じた - 16/06/14】

オックスフォード ジャーナル誌にDalhosie大学の准教授の   Brian Dowd-Uribe氏とサンフランシスコ大学の准教授の    Matthew Schnurr氏のレポートが21016年に掲載されました。 このレポートから内容を見てみましょう。

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国としてBTコットンの栽培を止めるという 方向は、概ねGMO農産物に対するアフリカの共通の考え方になってきました。
この動きはアフリカの将来を決める重要なことです。
ブルキナファソはGMコットンの品質に問題があり、完全にGM栽培から手を引くことを    決めました。
元々、「ブルキナコットン」はフランス政府から高い品質が評価されて、これまで70年以上   フランスに供給してきました。
西アフリカの気候を生かした独特な品質を維持してきました。
ブルキナファッソでは、GMコットンを取り入れるかどうか試験栽培をしてみました。       当初は「ブルキナコットン」の品質を維持できていました。                    そこで2009年に本格的な栽培を始めましたが、繊維長が短くなり、綿繰りの効率も
みるみると悪くなってゆきました。
この結果をモンサントの担当者は、雨など気候の不順を言い訳にしました。
その後2013/14年の収穫の結果も他の3分の2の地域で同じように品質低下を示しました。  この経験からGMなどの技術で効率性だけを求めることはよくないと分かりました。
もともとブルキナコットンの栽培効率は優れていて、たとえばブルキナコットンは
年間70万トンで、隣のマリの50万トンと比べて20万トンも優れていました。

ところがブルキナファッソがGMコットンで、もたついているうちにマリのコットンが
市場投入されて先を越されてしまいました。
ブルキナファッソのコットン関係者は、「実際にコットンが十分に売れてないのに、
こちらのコットンの方が優れているんだと叫んでも意味がないじゃないか」と嘆きました。
このGMコットンの想定外の現象は、遺伝子の多面発現現象で、GMの遺伝子に求めた目的の効果の他でも勝手に発現したためと思われます。
モンサントの科学者は問題の詳しいメカニズムについて説明するのは難解で意味がないと言いました。そして遺伝子をもとに戻すことも含めて解決策を研究しているとしています。
これに対して、ブルキナファッソ側は、不満が頂点に達していて、GMコットンを止めて   元のコットンに戻したいと決断を下すことになりました。
実際2015/16年の時点で53%に減らし、2016/17では、30%に減らす予定にしています。2017/18年にはゼロにするとしています。
2010年から行われてきたモンサントのGMコットン栽培で品質低下を被った損害は、300億円
にもなると云います。
このブルキナファッソのモンサントのGMコットン採用の失敗例は、多くの他のアフリカの 各国でも同じように起こっていることで、安易にモンサントのプロモーションに乗せられることなくしっかりした選択をしてほしいと、このレポートで結んでいます。

文中のBTコットンとは、BT(Bacillus thuringiensis 殺虫微生物)
遺伝子を組み込んだコットン、
GMコットンとはGenetically modified
遺伝子組み換えコットンです。

平成28年5月30日                 
日本オーガニックコットン流通機構             
宮嵜道男

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