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【平和な棲み分け理論 - 13/10/22】

平和な棲み分け理論

中国は、経済を伸ばし、軍備を拡大し、領土、領海の拡大に熱心で、四方八方に加圧の行動をしています。

中国沿岸の海洋侵出では、南沙諸島でフィリピンと、沖縄尖閣列島では日本と摩擦を起こしています。
陸上の国境でも、中国軍はやはり膨張して、インド軍がこれに対抗し、重苦しい緊張状態が続いています。

そんな中、インド、ヒンドゥスタン・タイムズ紙の8月9日付の報道では、ちょっと心和む場面が
あったようです。

中国のパトロール隊がいつものようにインド側に侵入し、「中国の領土だ」と主張していたところを
インドのパトロール隊が発見し、銃を構える一触即発の睨み合いとなりました。
しばらくして、中国側の兵士がバドワイザーのビールの缶、数本を差し出すと、インド側も手持ちの 
お菓子を渡し、最悪の事態は回避されました。
中国側の新華網もこのハプニングを8月11日の紙面で好意的に伝えました。
 
相対する軍人同士も、軍服を脱げば只のヒト同士ということを、微かにでも信じたいところです。
 
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生態学者・今西錦司(1902〜1992年)は、
生物の進化について「種の中では競争しなくても
生きて進化してゆく」という画期的な棲み分け理論を
打ち立てました。

一方、ダーウィンと云えば進化論ですが、それまで
ヨーロッパでは、この議論はキリスト教も絡んで紛々と
行われてきました。
そしてダーウィンが、1859年「種の起源」を出版して、集大成した形になりました。

進化論は、世界の常識、生物界の常識で、「自然淘汰」、「弱肉強食」、「優勝劣敗」の理論一色で塗り固められて、疑問を挟む余地はありませんでした。
進化論は、白人優位・有色人種劣位、やがてナチズム
にまで投影されて人々の価値観や社会の仕組みに影響して
ゆきました。

そんな中、今西博士は、昆虫や魚など多くの生物の生態を子細に見てゆくと必ずしも、弱肉強食ばかり 
ではなく、弱い「種」でも固有の環境の中で適応してうまく棲み分けしながら、進化してゆくという
理論を提唱しました。


日本古来の「共存共栄」や「和の精神」を持った日本の学者らしい帰結でした。

世界に目をやると、昨日も今日も紛争や内戦で命を落とす人たちが沢山います。
力には力で優位に立って、相手を潰すというやり方が相変わらず行われています。

人類も上手に棲み分けて、お互いを尊重するような方向に進化してほしいものです。

インド軍兵士と中国軍兵士の間に、一瞬でも、人間的な感情の交流があったこのニュースには

希望があります。


平成25年8月21日                   

日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜 道男

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