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【廃棄物で発電する。 - 13/08/06】

まるでバック・トウ・ザ・フューチャー
スピルバーグ監督のヒット映画「バック・トウ・ザ・フューチャー」で、未来にワープして自動車の
燃料補給にごみを入れてパワフルに走り去るシーンがありました。
それを映画館で見た時、強く感動して「思いっきり拍手」をしたかったのですが、恥ずかしいので我慢しました。
廃棄物が当たり前にエネルギーになる、発電できるバイオマス技術がある時代まで来ています。
まだ日本の総発電量の1%ですが、大変有望な技術です。

コシの強さで全国的人気の讃岐うどんの産地、香川県が廃棄うどんで発電しているというニュースがありました。
うどんの製造工程で、ちょっとしたミスで売り物にならない大量のうどんが出来てしまうことがあります。
また、切ったり、袋詰めなどの工程では日常的に端物が出ます。歩留り・廃棄率がわずか5%と
いっても全体の扱い量が大きいので、小麦換算で年間3,000トンもの廃棄物になります。
さて、廃棄うどんを発酵させると「エタノール」を生産できます。
300kgのうどんがなんと100リットルのエタノールになります。
これは、別に驚くに当たらずで、米を麹菌で発酵させると酒(アルコール)になるのと同じ原理です。
エタノールは燃料として優れていて加熱装置はもちろん、自動車の燃料としても使えます。
ブラジルではサトウキビのエタノール・エンジンが当たり前です。

さて、エタノールを抽出した後の残りかすからメタンガスを発生させて燃焼させ、タービンを回して発電もします。今はまだ、年間15万キロワット程度ですが、四国電力に電気を売って600万円位になる計算が立ちました。
最終的に残ったカスは、有機肥料として畑に戻します。
これも「思いっきり拍手」したくなりました。
調べてみると、讃岐うどんはほんの一例で、日本全国でバイオマスの取り組みが始まっています。
・山林では、間伐材や製材の端材を木質チップにしてボイラーの燃料にして発電する。
・木造住宅の解体後の木材もチップ化して燃料にする。
・畜産の地域では、家畜の糞からメタンガスを取る。
・下水処理後の汚泥も立派な有機材料でメタンガスが採れる。
メタンガスと聞くと悪臭のイメージがありますが、元来は無臭で、メタンガスの都市ガスは、安全のために感知できるようにわざわざ臭いを付けているくらいです。
これらのように、有機物や微生物を使ったバイオマスの可能性は大いに期待が出来ます。
原発のような危険な廃棄物も出ません。原発と比べて、原始的で頼りない技術と云う感じがするかもしれませんが、原発とて、ただ湯を沸かしているだけで、決して進歩ではありません。
ただただ危険な代物というだけです。

ランチタイムに売れ残った弁当とか、閉店まじかのデバ地下で翌日に持ち越せない残った惣菜とか、
見渡すと食べられずに廃棄される食品が山のようにあります。日本で年間1,800万トンにもなります。
食品流通の仕組み自体がおかしいと思いますが、とりあえず、いいアイディアが出るまで、この廃棄物を有効に活用することは、すぐにでもできる訳です。
国は食品廃棄物の回収システムと地域分散型の発電施設の建設を急がなくてはなりません。
1800万トンの食品廃棄物が、どれほどの価値を持っているか、ちょっと乱暴な計算ですが、やってみます。
上記の「300kgの有機廃棄物が100リットルのエタノールになる」という前提を使って、そのまま1800万トンに換算してみると、なんと600万キロリットルのエタノールが取れるとなります。
日本が年間で必要な180万キロリットルの3倍にもなります。
バイオ燃料は、CO2削減策の一つで石油をバイオ燃料に替えるという国際条約にもなっていて、この1800万トンの食品廃棄物がうまく利用できれば、どっちを向いても丸く収まるようになります。
こんな「思いっきり拍手」できる方策をなぜ、政府は積極的に行わないのでしょうか?

相変わらず原発再稼働ばかり主張し、この期に及んで、カザフスタンからのウランの調達ルートを交渉しているというニュースが流れています。 バイオマス発電のような規模が小さい案件では大きな資金が
動かないので、きっと政財界のメリットがないのでしょう。
残念なのは、先日の参議院議員選挙でも判るように、一般の人々の環境保全・安全への意識の希薄さです。原発再開を明確にしている政党をあれほどまで勝たせてしまっては、再稼働反対の運動が国民の意思を
代表していると主張できなくなってしまいました。

GDPが2位から3位に落ちたと云えども、日本には、まだまだ技術も意欲も勤勉さも資金も残っています。バイオマス発電の他に、小水力発電、地熱発電など日本の国土の特性にあった発電方法が沢山あって、やればできるのに、遅々として進まない現状を深刻に考えないといけません。
一人一人が、本当に安心のできる未来を望むのなら、その意識を強く持ち続けなければ、改革は起こりません。 子々孫々のために「オーガニック発電」を拡げてゆきましょう。

平成25年7月25日                   
日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男

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