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【編集雑記/男女倉の水 - 04/01/22】

中山道六十九次に和田宿という小さな宿場がある。
長野県小県郡長和町和田(旧和田村)人口2,600人ほどの地域である。
羽田元首相ゆかりの地でもある。小県郡は「ちいさがたぐん」と読む。
和田宿を出て下諏訪へ向かう途中に和田峠がある。
標高1,531メートルと昔ここを往来した人達は大変な思いをしたことだろう。
急峻な峠は今でも旧国道を車で越えようとしても結構大変である。
もっとも現国道142号線にトンネルができて楽に往来できるようになった。
このあたりは昔から人が住んでいたようだ。江戸時代の話でなく、石器時代にさかのぼる。
15,000年から20,000年も前の話らしい。
黒曜石の産出地で硬いその石で矢じり、刃物等に加工して使用していたようだ。
このあたりには石器時代の遺跡がやたらとある。
和田峠産の黒曜石が遠く北日本でも発掘されていると地元の博物館で知った。

和田村を和田峠へ向かう最後の集落が男女倉である。
ここにとうとうと溢れ出る男女倉 湧水がある。
水質は文句なく、商売に使うらしい人達が沢山の容器を持って水汲みに集まる。
常時車は5-6台並んで水汲みの順番待ちである。
水量の豊富なことはこの上ないが、容器に入るのはほんの一部で殆どは直ぐ下を流れる沢へと流れてゆく。
太古の昔から、地中深く眠る黒曜石の間を通り、昼夜を問わず豊富に流れる湧水でどれだけの人々が喉を潤しただろう。
ここへ立ち寄るたびに思うが、こんなに綺麗な水がとうとうと溢れていることに贅沢を感じる。
都会で現在井戸水をくみ上げている家庭もあると思うが、大抵は庭の花壇にまいたりして、飲み水としては使っていないだろう。
水道水の不味さは言うに及ばず、何種類もの水がスーパーで売られている。
日本人が水を買うようになったのは15年か20年ぐらい前からかと思い起こしている。
日本の山河や水、特に河川の水が最悪な状態になったのは、昭和40年代の初めごろだったと思う。
今や東京の隅田川もきれいな水が流れるようになった。
釣り糸を垂れる人もいるくらいで、東京湾の江戸前魚貝類も最近ではまた珍重されるようになってきた。
一時期は釣れても食えたものじゃなかった。

和田村に「とく田」と言う屋号の美味しい蕎麦屋がある。
和田村の本陣がある中心地から美ヶ原へ向かう途中にある。
十割更科そばを供する。一度機会があったら立ち寄ってみたらどうだろう。
信州の蕎麦は、そばそのものは申し分なくても、タレがもうひとつだという印象のところが多い。
ここでは美味しくいただける。名水の或る処に美味あり。

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画像上から男女倉の水汲み風景、蕎麦宿「とく田」

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