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【編集雑記/ギンヤンマ - 03/07/06】

ブットレアが咲き出すと日本列島も夏である。
日本の国土は戦争による空襲で殆どの都市が焦土と化した。
昭和19年から20年にかけてのことである。
戦後日本人は再建に立ち上がったが長い間苦しい生活を強いられた。
20年代の日本の国土はそれほど汚染も進んでいなくて山も川もきれいなものだった。
化学肥料も使われず田んぼには、タニシ、ドジョウ、カエルも元気に泳いでいたものだ。
トンボも夕方になると捕食の為に天を仰ぐと真っ黒になるほど飛び交ったものだ。

トンボの王様は何といってもギンヤンマ。
このギンは畑で四角をぐるぐると回り縄張りを作り飛びまわる。
チャンと言うギンヤンマのメスが上空を飛ぶとすかさず見つけ天高く上り追いつきお繋がりとなるのである。
このメスのチャンを手に入れると暫くの間トンボ釣を楽しんだものだ。
しかしこのチャンもそうは長い間生かして手元において置けない。
死ぬと元気なギンヤンマの胴(空色)のところから尻尾にかけてメスのチャンの胴(茶色)をはめるのである。
これをはめチャンと呼び女装のオカマに仕立て上げとんぼ釣に行くのである。
この場合交尾の為に絡まっていてもすぐにオカマだと云う事が判り逃げて行ってしまうので短い時間にギンヤンマを手に入れる技術が必要となる。
このはめチャンの材料がなくて作れないときは、絵の具を使って塗りチャンのオカマを作る。
これも騙しであるからうまく獲り込まないと逃げられる。
トンボ釣はムギワラトンボを使ってシオカラトンボを釣ることも出来るが銀ヤンマのようには大胆に絡まないので面白さは比較にならない。

ナユタHPにも書いてあるが、米国の海洋生物学者レーチェル・カーソン女史が農薬に警告を出したのが昭和37年のことである。
日本の国土も農薬やその他化学物質にどんどん汚染されて行き、昭和40年代には最悪となる。
水俣病やイタイイタイ病があちこちで発覚していく。
東京の隅田川も異臭を放つドブ川となったのもこの頃である。
日本の田圃からカエル、タニシ、ホタルがいなくなっていった。
日本でもDDTやBHCと言われた殺虫剤が使われなくなった。
ドリン剤と言う農薬が10年も使われていないのに農産物から検出されたニュースを最近聞いた。
残溜農薬の問題は恐ろしい事だ。
ゴルフ場などで稀に銀ヤンマのお繋がりを見ることがあるが、胸がときめき又よくぞ生き抜いてきたものだと思う。
早く昔日のようにトンボか飛び交うオーガニックライフの環境に戻って欲しいものだ。

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